コラム
【保険買取利用者インタビュー】がんと向き合う経営者の選択:生命保険の売却資金で事業継承を盤石に
「残された人たちが自由に資金を使えるように」。会社経営者であるAさんが「マネックスの保険買取」によって、自身の生命保険の売却による資金調達を選んだのは、がんの再発がわかった2024年の4月から数えてわずか3ケ月後の7月のことでした。生命保険の買取という日本でまだなじみの少ない資金調達方法を知った時点で、まだ先行する事例は少なく、Aさんが「マネックスの保険買取」の最初の利用者となります。治療と仕事を両立しつつ、「後進による会社経営にできるだけお金の心配がないようにしてあげたい」という思いから、Aさんが選んだ事業継承のかたちについて詳しくお話を聞きました。
▼お話を伺った方
Aさん(58歳 男性/会社経営者)2021年に肝内胆管がんを罹患し、手術による治療を行うも2024年に再発しステージⅣ(取材時)の診断を受け治療にあたっている。掛け捨て型の生命保険契約(法人契約)を、「マネックスの保険買取」で売却した。保険金額は4000万円、解約返戻金額がゼロであるところ2,650万円で買取を実施した。
最初のがん治療から3年ほどで再発。「手術ができない」と告げられる

がんの再発がわかったとき、主治医から告げられたのは「今回、手術はできない」ということでした。私はもともと2021年に最初のがん治療で手術をしていたので、積極的な治療法として今回もできれば手術を個人的には望んでいたのです。ところが、残念ながら主治医の説明では、いろいろな事情によって難しいということだったのです。それで、自分自身の健康管理をどれだけ長期にわたってやっていけるかということに、今後の治療方針を定めていったわけですが、再発がわかってからひと月ほどは悩みました。同時に、「会社のことをどうしていこうか」という問いがずっとありましたので、それに対して腹がくくれたのは、そこからさらに2ヶ月が経ったころでした。
少しさかのぼって最初にがんがわかったときの話をしますと、2019年には検査で影が映っていたものの、当時の担当医は大丈夫だろうと判断し、そのままにしていたんですね。その後、2020年の12月に総合病院の皮膚科で診療を受けた際に「去年撮った映像を見たのですが、これはちょっと詳しく調べた方がいいですよ」と言われました。そこで検査をしてみると、あのときの影がかなり大きくなっていたのです。
明けて2020年に入ってからも経過観察をしていたのですが、2021年になった頃には5センチを超えるほどになってしまい、そこから手術が決定しました。手術をしたら社会復帰まで半年ほどかかると言われ、「それなら、再発さえしなければ共存していけるのかもしれないな」と当時は期待を持って考えていました。
けれどがんというのは思いどおりにはいきませんね。それから3年強ほどで再発となってしまい、手術もできない病状ということに至ったわけですから。
治療の選択肢が限られるなか、自分の残りの時間を「会社のために」使おうと決意

最初の宣告はもちろんですが今回の再発の宣告と、余命について医師から話があったときは正直なところ、やっぱりきつかったですね。とにかく「治療の選択肢が限られた」ということがきつかった。外科手術で病巣を取ることができないという衝撃に加えて、既に骨に転移がわかったのです。がんはやがて、全身に広がっていきもぐらたたきになるだろう、と想像しました。
「手術で根本の病巣を切除できないので、これ以上他に散らばららないように治療をする」という選択しか残されていないのか、という事実にとても打ちのめされる思いがしました。
しかし同時に、「病気に対して打つ手がないのなら、今のうちにやれることをやらなくては」と考えるようにもなりました。今の会社を一緒にやってきた従業員は、私にとって家族同然。私の最後の時間は、彼らのために全力を注ごう。そう決めたのです。
会社の経営に必要不可欠な「金銭」を次世代に残すために。新たな資金調達法として「保険買取」を知る
そこから会社の今後について、さまざまな選択肢を調べ上げ吟味していきました。特に重視したのがお金、資金調達でした。それというのも、社長である私自身が会社経営から抜けたとき、ではなにで補填できるだろう?と考えると金銭的な価値を遺していくことが不可欠です。そんなとき、たまたまテレビで「マネックスの保険買取」のニュースを見たわけです。
「生命保険の買取」という資金調達方法については、もともと教え子がファイナンシャルプランナーをしていた関係でアメリカでは一般的であることを聞いて知っていたんですね。当時は「そうは言っても日本ではありえないだろう」と考えていました。ところが、テレビでそのニュースを見たときというのが、自分自身がちょうどさまざまな資金調達方法を検討しているタイミングだったもので、すぐに問合せをしてみたのです。
なんせネットで調べても詳しいことがわからない。じゃあ聞いてみよう、ということで問い合わせると、マネックスの保険買取の社長さんと直接話すことができました。そこでいろいろとやり取りをさせていただきながら、もちろん他の方法とも比較検討した結果、最終的に生命保険を売却して資金を得ることを選んだのです。
元気なうちに自分の意志で資金の使用方法を決められる自由に加え、借入をせず事業継承ができる利点

当時他に検討していた方法としては、銀行借り入れや自己資金を増資するなどでしたが、実際コロナ禍で行った借入の返済額を、これ以上増額するのは現実的ではありませんでした。
最終的な決め手となったのは、「自分が今、決めることができる」ということ。死後に保険金が下りた場合、資金の使用方法を私が決めることができませんが、まだ元気なうちに今後どのように資金を使用するのか?という点を自ら決めることができるので、会社に資金を遺し、彼らがこれから経営するうえで自由に使うことができます。そしてなにより、私が元気なうちに相談に乗りながらスムーズに継承していくことができると考えたわけです。
もうひとつ、生命保険は借入金ではないので今からマイナスとなることがないでしょう。なので、財務的にもいろいろな選択肢が持てると思います。私自身は会社に対してどうこうという考えはもうなく、次の世代に継承することで自分の役目はひとつ終わりだと考えています。ちょうど年齢的にも事業継承のことは考えないといけないな、と思ってはいたので、思い切ってこの機に踏み切ることにしたのです。
であれば、新たな借入をしないとならない状態で継承するのではなく、安心して資金が回っていく財務体質づくりにも貢献できる方法ではないか、とも思ったのです。これにより、前倒しで事業継承を進めていくことができるわけですね。
わからないことだらけでも、納得するまで質問に答えてもらって決断へ。すぐに社内体制も刷新し、念願の事業継承に着手

買取に関しては、処理は非常にスムーズでした。一方でなにしろ初めてのことですから、参考とする他の情報もなく、「どのようにしたらいいのか」や、提示された金額が適切なのか?といった疑問については、社長さんと何度もやり取りを重ねました。非常に丁寧に質問にも答えていただきましたし、メールの返信がとても迅速だったので助かりましたね。
私が最初の利用者ということで、不安はなかったのか?と聞かれますが、それは特に感じませんでした。唯一、残念だったのは金額の差でしょうか。私の保険契約は、無解約返戻金型定期保険(法人契約)で、買取にすると4,000万円の保険金額が2,650万円にまでダウンしてしまいました。ただ、私はこの差額でもメリットの方が上回ると判断していたので、デメリットと感じることはありませんでした。つまり、「金額は下がっても自由度が上がった」と解釈し、実行に移したわけです。
そうした経緯を踏まえ、従業員に私の病気の現状について、そして安心して事業継承ができることを伝えることができました。早速着手したのは、社内の責任分担を明確にし、新体制を敷くことでした。金融機関等へはまだ私が代表として業務を行いますが、それ以外の現場業務は既に若手へ譲ることができました。
「新たな資金調達法として経営者に特に知ってほしい」。安心は生きる力になる

自分自身の意思でこうした決定を執ることができたことで、安心を得られたこと、そしてそれが生きる力につながっていると感じています。私は今回、自分の事例をオープンに話すことで、多くの同じようにがんに罹患する方々にこのような新しい資金調達の方法を知ってほしいと考えているのです。自分が生きているうちにお金の使途を選択ができるサービス、制度について知ることで、力になる人は多いはずなんです。
もうひとつ、ひとたび生命保険の契約をしたら生涯で支払う金額は相当のもの。このトータルで支払う金額と、支払われる保険金額とを改めて考えてみると、ある種相当保険会社に有利な仕組みと言わざるを得ないでしょう。それに対して、「保険の買取」サービスの認知が広がっていった場合、保険料自体の考え方も変わってくるかもしれません。また、買取事業が進めば、こうした選択肢も広く知られることで、かえって保険加入者も増える可能性もあるでしょう。
経営者の方で、借入しか選択肢がないことで非常に厳しい状態を続けておられる方がいらっしゃると思うんですね。私は今回、病気自体はアンラッキーでしたが、このような形で資金調達をできたことはラッキーでした。他に同様なケースの経営者の方がおられても、こうしたサービスを知らなければ使うことができません。「帳簿を悪化させることなく資金調達ができる」のは、現状保険の買取くらいではないでしょうか。
2024年に医師から宣告された余命は最短で11ヶ月というものでしたが、それはクリアすることができました。最長でも24ヶ月と言われましたが、私はその2倍を目標にがんばると決めています。だって医者というのは短めに言うものだろうと思いますから。
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